2019年3月21日木曜日

北海道遺産にも認定されている、モール温泉ってどんな温泉?





「モール温泉」ってご存知でしょうか?
特に北海道に多く分布している温泉で、北海道遺産にも認定されています。
今回はそのモール温泉についてご紹介します。

モール温泉とは

モール温泉のモール(Moor)とは、ドイツ語で亜炭などを含む泥炭のことです。
泥炭とは、太古の時代における植物などが枯れて堆積し、地中の微生物や酵素、カビ類などの働きにより、数百年~数千年という長い年月をかけて作られたものです。
泥炭に含まれる有機物フミン酸には、細胞を活性化して皮膚を再生させるという働きがあると言われています。
単に肌がつるつる・すべすべになるだけではなく、肌を再生させるというのがポイントです。

ちなみに、モール温泉という名は温泉法に基づく療養泉の分類とは全く別の概念で、泉質名ではありません。
温泉法においては、特定の成分を一定量以上含むものを温泉と定義しており、基本的に温泉成分は鉱物資源のため、有機物を含むモール泉はこれらの指定成分には入っていません。
モール温泉という名前は、言ってみれば通称みたいなものです。
療養泉上での分類では、単純温泉や塩化物泉、炭酸水素塩泉であることが多いです。

北海道遺産にも認定されている

植物性温泉であるモール温泉は、世界においても一般的な鉱物性温泉に比べて希少な泉質で、平成前期までは北海道の十勝川温泉とドイツのバーデンバーデンという2か所でしか確認されていませんでした。そのため平成16年に北海道遺産として認定されました。
その後、国内の別の地域においてもモール成分が含まれた温泉が確認されはじめています。

モール温泉の特徴

まず、他の温泉と比べて見た目にインパクトがあります。
お湯の色が、飴色のような、コーラ色のような、かなり濃い色をしています。
中には、ほとんど黒色に近く、透明度が極めて低い場合も。
これは分解された植物が温泉水に溶け込んだ色なのです。

石炭の形成途上で炭化が進んでいない泥炭や亜炭層から源泉を汲み上げるため、植物起源の有機質を多く含み、肌に触れるとトロトロとした感触があるのが特徴です。

モール温泉の効能

そのトロトロとした感触からも実感できますが、フミンと呼ばれる腐植物を成分として含んでおり、美肌に非常に効果が高い温泉と言われています。
モール浴という泥炭を直接肌に塗ることで皮膚に良い成分を取り入れる方法がありますが、モール温泉に入浴することでそれに近い効果を得ることができます。

保水・保湿効果については正式な研究結果としても明らかになっており、帯広畜産大学と十勝川温泉旅館協同組合が行ってきた研究では、培養したヒト細胞に、蒸留水とモール温泉水をそれぞれ与え、細胞内のたんぱく質を合成する際に必要となる遺伝子の状況を調べました。その結果、モール温泉水を与えたヒト細胞は、保水性を高めるたんぱく質を増産し始めたといいます。

天然の化粧水と言われるほどの保湿効果が期待でき、「美人の湯」とか「美肌の湯」などとうたっているモール温泉施設が数多くあります。
ちなみにpH値の数値が高いほど湯のトロトロ感が増し、効果が期待できます。

札幌近郊でモール温泉がある施設

北海道においては道東方面を中心として存在しているモール温泉ですが、札幌市内及び近郊でも入ることができます。


森林公園温泉きよら(札幌市厚別区)

つきさむ温泉(札幌市豊平区)


竹山高原温泉(北広島市)

北広島温泉 楓楓(北広島市)


などなど。

札幌市南東部~北広島市付近に多く分布しているようですね。


まとめ

体の芯から温まるだけでなく、美肌にも効果が期待できそうなモール温泉。
一言でモール温泉といっても、場所が異なれば温泉の成分も違い、湯の感触も大きく異なります。
各地のモール温泉入り比べ、というのも面白いと思いますよ!

0 件のコメント:

コメントを投稿